「……それだと、昔の俺と何も変わらないんです」

エイヤが神妙そうに言った。

「中学校のとき、ふざけていた俺と。……だから、ちゃんと向き合おうって」

その雰囲気にみんなが黙った。

が、カナコは笑顔になった。

「――やっぱり、キョウスケくんが見込んだだけはあるね」

「……?」

それからカナコは、うーん、とうなる。

「あんまりしゃべると怒られちゃうんだけど……キョウスケくんもそうだったんだよ」

キョウスケもそうだった……?

「中学校のときふざけていたのか?あの妙な口調で?」

「ナオキさん、今真面目な話ですから」

「あ、……ああ」

とりあえずオレは黙っておく。

「……わたしは高校のときからしか知らないんだけどね、キョウスケくんは自分の身の周りの状況と向き合わない人だったんだよ」

大学受験を無視している今も十分そうだと思うが。

「キョウスケくんの将来は決まっていて、学校生活なんて過程に過ぎないと思っていたんだ。正直、あのときのキョウスケくんなら合宿なんて企画しない……ううん、そもそも部長なんてやっていなかったと思う」