まだふらつくが、エイヤは立ち上がることが出来た。
「……とにかく、帰ろう。……ほら行こう、サヤ」
「うん……」
オレたちは旅館に戻る。
大変な合宿だ、と俺は痛感した。
部屋に戻ると書置きを見つけた。
『一緒にいても気まずくなるだけだろう キョウスケ』
あまりにもサッパリとした文面がキョウスケらしさを思わせる。
まるでケンカの後とは思えないが。
このまま合宿を、休日を終えたらそれこそ気まずいだけだろう。
この合宿中に決着を着けるべきだ。
「……これからどうする……か」
エイヤが言った。
とりあえず、どうやったらサヤのことを守れる『覚悟』が証明できるのか。
――いや、どうやったらキョウスケのような相手でもサヤが守れるのか、考えないといけなかった。
……よく考えたら、腹が減った。
オレの経験上、あまり思いつめてもいい考えは思い浮かばない。
だったら、飯を先に済ませよう。
「夕飯だぜ」
「……お前はもっと人の気持ちを察することができないのか」
……確かにそうかもしれない。
そもそも気が沈んでいるのに飯だなんて……空気が読めてないのかもな、オレ。
まあ、
「とりあえず飯を食って、それから考えればいいだろう」
それでも遅くないだろ。
オレはエイヤを連れて、部屋を出た。



