不思議病-フシギビョウ-は死に至る



カナコが、エイヤの側に立つ。

「エイヤくん。どうしてキョウスケくんが怒ったか、わかる?」

カナコはわかっている口ぶりだ。

何故キョウスケが怒ったのか、オレにもわからない。

ただ、ケンカの中にヒントはあった。

キョウスケ相手ならエイヤは勝てない……もしキョウスケみたいなのがケンカの相手だったらエイヤはサヤのことを守れなかっただろう。

そのことをキョウスケは『覚悟』と言って、鼻で笑った。

おそらくエイヤの『覚悟』が足りないと思ったのだろう。

しかし、それじゃあ真の『覚悟』とはなんだろう。

サヤのことを守れる『覚悟』とは。

「キョウスケくんはきっと、それをわかってほしいんだと思う」

カナコは遠いところを見ていた。

「キョウスケくんは、本気になっていることにしか手を上げないんだよ。本気でエイヤくんにわかってもらいたかったんだよ」

カナコは知っているのだろう。

キョウスケがどのような人間なのか。

――エイヤは答えなくちゃいけない。

サヤを守れるだけの、真の『覚悟』は何かを。

しかし、どうやって?

それはわからなかった。