エイヤは耐えようとふらついていた。

だが、そのまま砂浜に突っ伏してしまう。

顎を横に打ち抜かれると、頭が揺れる。

そして、脳震盪を起こす。

下手したら気を失う攻撃だ。

エイヤは、大丈夫だろうか。

そのとき、サヤが二人の間に割って入った。

「もうやめて……!!」

悲痛な叫び。

「……ふむ。これからワタシはエイヤを完膚なきまでに叩きのめすというのに」

いつもと変わらない口調だが、人をバカにしている言葉。

平然としているキョウスケが、オレには恐ろしく思えた。

エイヤの神経を逆なでしただろうが、エイヤは動かなかった。

いや、動けないのだろう。

「エイヤ、エイヤ……!」

サヤがエイヤの体を起こす。

そのとき、サヤは泣いていた。



キョウスケが、一呼吸置いて言った。

「エイヤ……この程度でサヤを守れたというのかね?キミはこの程度の覚悟だったということかね?」

エイヤは答えない。

「答えられないのかね?」

今回、エイヤはキョウスケに負けてしまった。

つまり、もしあの男たちがキョウスケならサヤを守れていなかったことになる。

だから、エイヤは『サヤを守れた』なんて言えるわけがなかった。