なんで、キョウスケはエイヤを殴ったんだ?

サヤを取り巻いていた男たちを追い払ったエイヤは賞賛されてもいいはずだ。

評価されてもいいはずだ。

なのにどうして、エイヤが殴られなくてはいけない。

オレは混乱した。

エイヤはふらついている。

「どうして殴られたかわかるかね?エイヤ」

「……ふざけているのか?」

オレもそう思う。

だが、

「ふむ。それはキミのほうだ」

キョウスケが歩み寄る。

「『俺はお前を守る』?笑わせないでくれたまえ」

間合いを詰めてくる。

「だったらワタシを止めてみたまえ」

キョウスケは本気だった。

「その覚悟……!」

エイヤが拳を構えるよりも早く、キョウスケはエイヤの懐に飛び込んだ。

「見せてくれたまえ!!」

体全体を使った、体当たりにも似た拳が、エイヤの下腹部に叩き込まれる。

その拳は、

「……っ!?」

エイヤの体を突き飛ばした。

勢いは止まらない。

体が宙に浮き、砂の上へ仰向けに倒れた。

二メートルは飛んだだろうか。

「かっ……!」

短い声が聞こえた。