そうだ。
栗崎に会いに行こうと思ってたんだっけ。
いきなり現れるから肝心のこと忘れてたじゃんか。
「おい、栗崎」
バイクから降りて、シートに腰掛けながら、うずくまってる栗崎を見下ろしながら言う。
「な…なんだよ」
まだ驚きが消えないのか、いつもの栗崎らしくない言葉の中、なんとか返事をしてる。
「お前、うちが前いた組にいろいろ聞いて回ってるみたいだな?」
「あぁ、悪いか?」
なんとか平静に戻った様子で栗崎が立ち上がる。
悪いか、も何も……。
「みんなが心配してたんだよ。"お前、あんな男とデキてんのか"とかな」
「それじゃまるで俺が怪しいやつじゃねぇか」
怪しいだろ、十分。
生徒会長の癖して裏表激しいし。
急に口調変えて"俺に逆らわないほうがいいと思うけど?"みたいなこと言い出すし。
むしろお前のどこが怪しくないんだって。
「…とりあえず、うちの近辺探ったりすんのやめろ」
「え、だってそれじゃ稜ちゃん情報得られないじゃん」
気持ち悪いな、稜ちゃん情報って何だよ。
「聞きたいことあんだったら直接うちに聞け」
それだけ言って、うちはバイクを押して家の中に入った。

