フィットしてる、ってさっき言ったけど、あれ、今までにない感覚だからってことだと思う。
じゃなかったら、こんなやつ即効で突き放してやる。
でもそれができないってことは、こいつに何かを感じるから。
何か、危険で妖しいものを……。
って。
今はそんなこと言ってる場合じゃないんだった。
早くこいつから逃げ出さないと。
……よし、仕方ないから究極の技使いますか。
「栗崎先輩?離れて?」
もう一度、結果は分かり切ってるけど、聞いてみる。
「……やだ」
「だろうと思った」
と一言、思い切り栗崎の股座を蹴り上げた。
「うっ……」
栗崎は小さくうめき声を上げた後、よろけるように後ずさった。
「てめぇ……」
股間を押さえながら苦しげに呻く栗崎は、なんだかとてつもなく間抜けに見えて。
笑い出しそうになるのを必死で抑えながら、バイクに跨る。
……あれ?うち、どこ行こうとしてたんだっけ。

