またバイクに跨って、エンジンをかけていざ発進!!……しようと思ったのに。
どこの組だかしらんけど、うちの目の前に5台のバイクが止まった。
ハァっと息をつくと、まっすぐリーダらしき人を見据えて、怒鳴った。
「そこ、邪魔!!」
ってか、怒鳴らないと聞こえないんだよね、バイクのエンジン音がうるさくて。
「おい、お前真木稜だろ?」
向こうも負けじと大声を張ってくる。
「だったらなんだよ。……ってかバイクの音うるせぇ。エンジン切れ」
そう言い放ち、自分もバイクのキーを抜く。
それを見て、リーダーが組員に合図すると、5人ともキーを抜いた。
うちはバイクを降りて、中ランのポケットに手を突っ込んで、バイクのボディに寄りかかる。
向こうからは、横顔しか見えてない状態になり、面倒くさそうな顔と声で何だよ、と聞く。
「……栗崎って知ってるだろう」
「あぁ、あの馬鹿男だろ?」
どうやら、こいつらは、栗崎と面識があるヤンキー共みたいだ。
「馬鹿男だと!?あの栗崎さんを……」
下っ端らしく、血の気の多そうな1番後ろの男が飛び上がった。
栗崎…なんたってこんなやつらと面識があんだ?
マジで。
栗崎が何を企んでいるのか分からねぇ……。

