「でも、だからと言ってお前を責めるわけじゃねぇし、組長が悪いわけでも哲が悪いわけでもねぇ」
それはその通りだけど、うちが組を辞めたことで、組の中の雰囲気が悪くなったんだし、やっぱり責任感じるよね。
信二は暖かい言葉をかけてくれるけど、うちの心がそれで和らぐわけじゃない。
「ありがとな、信二。話してくれて」
「何言ってんだよ。……あ、そうそう」
信二は何かを思い出したように、起き上がった。
「3日前かな。栗崎って男がお前のこと聞きに来てたぞ」
「えっ……!?」
何で栗崎が!?
ってかうちが昔いた事務所のこと、なんで知ってるんだろう……。
そりゃ、香矢とかに聞けばわかることだけど、香矢は栗崎のこと毛嫌いしてるし、教えるわけもない。
と言って学校にはそんなことばれてないし。
ってかうちがどっかの組にいても不思議に思わないだろうから、どこに所属してるかなんて聞かないだろうね、学校は。
「お前の彼氏か?」
「は、そんなわけないでしょ、あんなバカ男」
うちも一緒に起き上がって声を張って言った。
「はは。冗談だよ。あいつはお前の好みじゃねぇな」
信二はうちの好みを知ってるのか?
ま、知ってても不思議はないんだけどさ。

