Bad Girl~不良少女~




だけど、仕方なくでもルールの中で生活をすることって大事なんだなって岸田組にいて思った。


学校の校則守ってないうちでさえ、岸田組のルールには従ったんだから、組長って凄い。


「……そう、あの日」


一息置いてから信二が呟いた。


あの日とは、うちが組を出て行く2日前のこと。


組長と哲さんが珍しく対立してて、仲裁に入った信二は殴られちゃって、それを見た信二を慕ってる組員が組長に後ろから殴りかかった。


組長はその組員の腹をもの凄い力で殴った。


その組員は、気を失って倒れたけど、組長は気にとめずまた哲さんと喧嘩を始めた。


いくら縦社会がない組と言ってもやっぱり組長は偉大だ。


その組長に逆らったり手を挙げたからにはそれなりの仕返しがくると思わなきゃいけない。


対立している2人を見ていられなくなって、うちも仲裁に入ったけど、哲さんに顎を殴られただけで何もすることが出来なかった。


だけど、あんなに大好きだった哲さんに殴られたショックは並大抵じゃなく、うちはその場から駆け出した。


「あんたらなんかもう知らねぇ!!」


という言葉を叫んで。


その声を聞いた組長と哲さんの動きがピタリと止まった気配を感じたけど、立ち止まることなく自室へ駆け込んだ。


枕に顔を埋めて泣きじゃくった。


顎がヒリヒリと痛んだけど、お構いなしに泣きまくった。


どうしてこんなにも涙が出るのだろうというくらい、泣いたんだ。