「おい、稜。どうしたよ?」
「へ!?…信二かよ。びっくりさせやがって。なんでもねぇよ」
ボーっと考え事をしていたうちに信二が耳元で言ったから、流石にびっくりした……。
ま、いいや。
組長と哲さんの問題に首突っ込んでも何の特にもならねぇし。
……でも、組長と哲さんの問題の原因は、うちなんだ…と思う。
だから、気になるどころか落ち込む原因になりそうな気がする…。
「組長!!」
「あ?」
あ?って言うとキツい感じだけど、これはうちらの間じゃ全然普通の受け答え。
あ?とかあぁ?とかは?とか。
一見ケンカしそうな感じだけど、これ、普通だから。
「うち、帰ります。お邪魔しました!!」
「お…ちょ、稜…!?」
勢いよく頭を下げて部屋を飛び出した。
「ちょっと待てって、稜」
後から追いかけてきたのは組長じゃなくて信二だった。
「あ、なんだよ」
「いや、別になんでもねぇけど。暇してっから送らせろ」
「意味わかんねぇよ」
笑いながら駐車場まで階段を降りる。
「あ。そだ。信二にちょっと聞きたいことあんだけど」
「ん?いいよ」

