「嫌いなのに・・・疑わないんだ」
「は、何を」
何をって。
分かりそうなもんだけど。
「自分の妹が嫌いなやつとどーにかなってるってこと」
「・・・・・・」
何にも答えない香矢。
普通、嫌いなやつと自分の妹が何か関係があるって知ったら疑うもんじゃねぇの?
いや、うちの場合ホントに何にもないんだけども。
栗崎が勝手に付きまとってるだけだし。
「何とか言えよ。お前・・・信じてんのかよ?」
「・・・・・・さぁな。お前、戻れ。もう3時だぜ」
適当にはぐらかすけど、なんとなく動揺してるのが分かる。
面白い奴。
ふっと微笑んで香矢の部屋を出た。
3時ってのはもちろん、昼じゃなくて朝方の。
どうせ、明日は学校行かねぇんだから何時に寝ようと関係ない。
でも、香矢の誤解が多少解けただけでもよかったわ。

