この先生はちょっとした雑用を生徒に手伝わせることで名高い。
学年主任であることをいいことに、越権だという声も聞こえる。
あの栗崎財閥の息子で生徒会長と言えども、権力に折れもしない先生だから友也も煩わしがっている。
「先生、俺今日大事な用あるんですけど」
「お前の用なんて知るか。こっちの方が大事だ」
なんたる横暴さ……。
階下では聖華ちゃんと稜ちゃんが待ってるって言うのに。
「……。先生、友也は今日、1年に1度しか会えない友達が来てるんです。少しでも長く居させてあげて下さい」
澄ました顔で友也の元へ行き、しれっと助け船を出す。
「…じゃあ、お前が手伝え、綾村」
「生憎ですが、俺も会うんで。その友達」
表情を変えずにそう言えば、先生はチッと舌打ちして他の生徒を捕まえに行った。
「サンキュ、翼!!あーもう!!稜ちゃん待ってるのに!!早く行かなきゃ!!」
言いながらもう走り出してる友也に続いて、俺もちょっと駆け足になる。
……我ながら、あんな嘘が通るとは思わなかったけど。

