「稜ちゃんっ」


「うわっ」


朝から勢いよくうちに抱きつきにくる栗崎を必死に引き剥がしながら歩く。


「稜おはよー」


「おはよ、聖華」


「友也ったら朝から暑苦しいね」


「ほんとな。もっと言ってやって」


校門をくぐろうとしたところで聖華と綾村に声をかけられ合流する。


「暑苦しいってひどくない!?愛だから!!」


「でっかい声でなに言ってんの。恥ずかしい」


栗崎の必死の抵抗も、綾村に一刀両断されてしまった。


なんとか栗崎の体を引き剥がして隣を歩かせる。


まぁ、手はしっかり握られてるんですけど。


「友也っ。おはよう」


玄関を上がり、分かれて上靴を取りに行ったとき、3年の下駄箱で女子が栗崎を呼ぶ。


栗崎が女子に声をかけられるなんて珍しいことでもなんでもないから気にせず廊下へ出る。


「明日の集会のことなんだけど…」


「げ……」


栗崎と玄関から廊下へ出てきたのは、生徒会副会長の水崎望海(ミズサキノゾミ)だ。