バイクを目指して歩いていると、どこで話を聞いたのか、子分たちが並んでいた。
「お嬢。行ってらっしゃいやせっ」
いつも稜さんとか呼んでるくせに。
なんだかおかしくなって、声をあげて笑う。
バイクに跨ってエンジンをかければ、子分も含めて家族全員が頭を下げて見送ってくれた。
逸る気持ちを抑えてできるだけ安全運転で向かう。
たぶん、こういうときは普通男の方が女に会いに来るんだろうけど、
うちらはこれでいい。
バイクを運転するのも、荒っぽい言葉を使うのも、うちでいい。
町の景色すらうちらを祝福してくれているような感覚に陥った。
いつもは遠く感じない栗崎家への道が、今日はやけに長かった。
ようやく見えてきて、少しスピードを上げると、門の外に人影が見えた。
徐々に近づいていけば、それは栗崎だった。
門に寄り掛かるようにして立つ奴は、いつもよりカッコよく見えてしまう。
いつもの場所にバイクを停めて、ヘルメットを外せば、にこりと笑った栗崎と目が合う。
「稜ちゃん。会いたかった」
うちがバイクから降りるとすぐに寄ってきて、ギュッと抱きしめられる。
「ちょ…」
大方予想はしてたけど、ここ外だし…。
「稜ちゃんは?会いたくなかったの?」
わざとらしく顔を覗き込んで聞かれた。

