ゆっくり後ろを振り向けば、大体の話が分かったのか、じいとおばあ、母さんと父さんが優しく強い笑みを浮かべていた。
ばっちり目が合ったおばあは、ゆっくり確実に肯いてくれた。
「なぁ…」
「うん?」
こんなときくらい、キャラとかプライドとか全部捨てて、素直になってもいいかな。
「あ……会いたい…」
聞こえるか聞こえないか定かじゃないくらいの声量で伝えてみる。
みるみる顔に血が上るのがわかるけど、後悔はしてない。
「俺も。今、すごい稜ちゃんに会いたいよ」
フッと笑った栗崎は、うちにとってすげぇ嬉しい言葉をくれた。
「行くよ。お前んとこ行くから、待ってろ」
それだけ言ってケータイを閉じると、中ランのポケットに突っ込む。
そのまま勢いよく居間を出て行こうとすると、母さんに腕を掴まれた。
「あんた、その格好で行くつもり?せめて中ランはやめなさい」
呆れたような顔で言われて、ちょっと我に返る。
早く栗崎に会いたいけど、母さんの言うことも一理あると思うから、もどかしさを抱えたまま部屋へ飛んでいく。
さっさと着替えを済ませて、玄関を出ようとすれば、今度はおばあに呼び止められる。
イライラさえしてきて、バッと振り向けば、そこには全員が立っていた。
「良かったな、稜」
香矢の言葉がみんなの気持ちだったように、全員が肯く。
グーサインを返してそのまま玄関を後にする。

