「実はさ・・・うちの跡継ぎにされちゃってて・・・」


「マジで?そりゃ、災難だったねぇ・・・」


うちの話を廊下で親身になって聞いてくれて、うちの辛さも分かってくれる。


この季節、廊下は涼しいんだよね。


だから、廊下に出てる人も多いわけで。


・・・・・・アイツが、前方から来るのが見えて。


「あっ、聖華!!こっち」


聖華の腕を引っ張って、アイツから死角になるところまで走って、しゃがみ込む。


「ね、りょ___」


「しっ」


声を出す聖華をすんごい剣幕で黙らせて、アイツがいなくなるまでジッと待った。


「・・・・・・あぁ、良かった。わりぃ、聖華」


「いいけど・・どうしたの?」


「ん~・・・、生徒会長いるじゃん?」


「あぁ、栗崎先輩?」


あんなやつ、先輩でもないけどね。


「うん、そう。・・・うちさ、アイツ大嫌いなんだよね。顔見るだけでもムリだから、逃げてきた」


「別に顔見たくないんだったら先輩通ったら顔逸らせばいいじゃん」


「アイツ、うちのこと見たら絶対話しかけてくるし」


そうなんだよねぇ・・。


話しかけてこないなら、まだいいんだけどさ。