そんな気持ちを知ってか知らずか、おばあは小さく頷いた。


何やらメモを取って、もう一度確認するかのように頷く。


「それじゃ、先に正面の人たちが行って、それを確認した5分後、裏口から入ります。


栗崎友也の部屋は正面玄関目の前の階段で2階に上がって、そこから右に進んで3つ目です。


友也の身柄を確保したら、その時点でこちらからの連絡を待ってちょうだい」


面々の顔をそれぞれ見ながら、いいですね、と再度促す。


「「「おう(へい)」」」


3人の声がそろって、うちらの話は終わった。


「じゃ、俺はメンバーに報告してきまさぁ」


よっこらしょと立ち上がって、佐野は出て行った。


「稜、へますんなよ」


冗談交じりに言ってうちの肩に手を置いた親父をキッと睨む。


「はぁ?うちがそんなんするわけねぇだろ」


「どーだか。女は惚れた男にゃ鬼になりきれねぇってな」


うちが反発すると、嫌味ったらしく笑った。


「なっ……」


こいつ、知ってたのかよ…。


「そういうのは、絆創膏かなんかで隠しとくもんだぞ」


首元あたりを差してさらにニヤッと笑った親父は、居間を出て行った。


パッと自分の首元を見ると、必死に隠したはずの華が髪の合間から見えていた。


……最悪…。