「その分だと、女なったんだな、稜」
若干ふざけているけれど、その言葉の意図することは理解した。
カーッと顔に血が昇るのが分かった。
「な、なに言ってんだよ…」
息が詰まりそうになりながら弱弱しく言ってみたけど、スッと髪をよけられてしまった。
「これ、どう言い訳するつもり?」
勝ち誇ったような顔でうちの髪から手を離した。
視線をそらして、顔を俯けたら、思いのほか優しい声が返ってきた。
「お前が後悔しねぇんなら、それでいい。
あいつに妹が盗られるのは正直気に食わねぇけど、稜が選んだんならそれでいいさ。
ちゃんと踏ん切りつけてきたんだろ?なら、もう言うことねぇよ」
顔をあげると、逞しく、頼りがいのある優しい眼差しとぶつかった。
「香矢……」
「まぁ、親父に見つかったら事だから、なんとか隠せよ」
なんて笑いながら立ち上がって、出口へと向かう。
「あ、あとで全員集めて作戦会議するからな」
忘れんなよ、と意味ありげに笑って出て行った。
今更ながら、あいつらが兄貴でよかった。
この家に生まれてよかったって、心から思った。

