鏡の前で頭を抱えていると、部屋のドアがノックされた。
「稜、入るぞ」
声の主は香矢だ。
「あ、ちょ、ちょっと待って!!」
慌てて髪をなでつけつつ、印が見えないように確認してから、いいよと声をかける。
「ど、どうかしたか…」
目は泳ぎっぱなしだし、声もいつもより小さい。
明らかになにかあったことはバレバレの態度だけど、香矢は気づかないふりをしてるのか、何も言わずに床に座った。
「作戦、出来上がったからみんなに話したいんだけど、その前に確認しにきた」
真剣そのもの、といった口調で切り出されたから、こっちも真剣な顔で香矢の前に座る。
「お前……下手したら、今度の事であいつとの関係なくなっちまうかも知れねぇ。
ほんとに、それでもいいんだな?」
「しつけーな。良いってば」
ククッと笑ってやると、香矢も安心したように表情を少し柔らかくした。
「そういえば、あいつん家行ってきたのか?」
急に言われてまたしどろもどろになる。
「あ、あぁ…行ってきたよ……」
嘘吐いたって仕方ないので、正直に言うと、クスッと香矢が笑った。

