帰ってきたのはいいものの、冷静に思い返すとなんだか恥ずかしくなる。
どんな顔で家族に会えばいいのかわからなくて、しばらく玄関の前で立ち止まっていた。
「おお、稜。どっか行ってたのか?…入れよ」
後ろから急に声をかけられて、オーバーにリアクションをしてしまった。
「な、なんだ、三波かよ……。お前こそ、どっか行ってたのか?」
外にいるってことは、でかけてたのだろう。
「何言ってんだよ。弟子のチーム分け」
三波はなぜか、子分たちを″弟子″と呼ぶ。
はは、と笑って一緒に玄関を上がる。
「お帰り、二人とも」
ちょうど居間から出てきた母さんに声をかけられて、またドキッと心臓がなる。
無意識のうちに首元を隠して、″おぉ…″と返事してさっさと部屋へ戻った。
「やべぇ……これはやべぇよ…」
あまりにも動揺している自分に驚いた。
おばあと香矢は勘が良いから気づいてしまいそうで怖い。
全身鏡の前に立ってみて、そっと髪を退けてみる。
「やっぱり……」
あいつ、確信犯だろ。
絶対わざと見える位置につけただろ。
髪が長いのが幸いしてなんとか見えなくはなったけど、少しでも髪がずれれば確実に見つかってしまう。
無駄なことで悩ませるんじゃねぇよ……。

