「もしもし。稜?」
たったのワンコールで電話に出た聖華は、ずっとうちからの連絡を待っていたのだろうか。
「……メール、見たから」
なんだか申し訳なくなってきて、つい素っ気なくなる。
…いや、いつも親切ってわけでもねぇんだけど。
「うん、よかった…」
とても安心したような声の聖華に首をかしげる。
「よかったって…」
「稜、ちゃんと生きてたから」
「生きてたって……なんで死ぬことがあんだよ」
できるだけ明るく笑い飛ばしてみても、どうしてか聖華の声は沈んでいる。
「だって稜…最近全然元気なかったから……」
あ……そうか。
聖華には心配かけないようにって、なにも言わずにいたけど、逆に心配させちゃったんだ。
「…悪ぃ。そんなつもりじゃなかったんだけど…」
「分かってる。……でも、なにも言ってくれないなんて冷たいじゃん…」
そう。
そうなんだ。
分かってるんだけど、聖華だけは巻きこめない。
「聖華にだけは、迷惑かけられねぇから。…今は、ごめん」
消え入りそうな声で伝えると、電話口からすごいため息が聞こえた。

