「来てるよ。生徒会室にいる」


「サンキュっ」


聞くと否や、生徒会室に向かって走り出す。


栗崎の教室からは、"なんで教えちゃうの!?"と女子共が騒いでいたけど、気にしない。


だって、うちは栗崎の彼女だもん。


栗崎のクラスとそう遠くない位置に生徒会室はある。


入ろうとしたけど、人の声が聞こえて躊躇う。


会議中とかだったらやばいよな…。


そう考えて、しばらく中の様子を観察することにした。


ドアに耳を当てて、聞き取ろうとするけど、あまりよく聞こえないから何を話してるのかは分からない。


時々栗崎の、低く笑うような声が聞こえるから、談笑してるだけかな?


いろいろ考えたけど、結局分からないから、"今大丈夫?"とメールする。


部屋の中から栗崎のケータイの着信音が聞こえてきたから、届いているのは確かなのに、いくら待っても栗崎から返信は来ない。


不安になりかけたとき、不意にケータイが鳴った。


栗崎からの返信は、"今忙しいから後にして"という、たったそれだけの文章。


いつもの栗崎からは考えられないようなメールで、目を見開いた。


こんなに間を開けたのは、忙しいという言葉に真実味を持たせるためなのだろうか。


諦めて、教室へ戻ろうとした瞬間。