「稜ちゃん……」
もう一度、悲しそうな目をした栗崎に呼ばれる。
「だっだから…。うちら、まだ付き合ってもないのに、こんなこと……。
お互いに好きだって気持ちがあればいいってもんじゃ、ねぇだろ?」
うちの答えを聞いて、悲しそうな顔から驚きの表情へと栗崎は変わった。
黙ってベッドから降りると、そのまま黙ってうちに近づく。
思わず身構えたうちを、思い切りギュっと抱きしめた。
「…ごめん。そうだよな……。俺らまだ、付き合ってもないんだよな…」
まるで自分ひとりで喋ってるかのような声で、ため息をついた。
「稜ちゃんに好きって言われて、すごい嬉しかったんだ。
つい有頂天になってさ、翼に電話して。稜ちゃんと両思いだったー!!って。
翼も喜んでくれたから、テンションあがっちゃって。
明日は休んで、稜ちゃんがうちに来るように仕向けようって。そしたら本当に来てくれたもんだからもっとテンションあがって……」
もう一度小さくごめんと呟いて、栗崎はうちを抱く腕に力を込めた。
こんな栗崎初めてだ。
いつでも自信満々で、余裕綽々で、俺のすることは全部正しいんだぞとでも言いたげな顔でうちで遊んで。
こんな風に謝るなんて思いもしなかった。

