まともに栗崎の顔も見れないのは、昨日のことがあるからだろう。
っていうか、この状況はまずいと思う。
栗崎の(だと思われる)寝室に栗崎と2人きりで、昨日のことがあるし。
今の栗崎なら何をされるかわかんない。
とりあえず、ここ出てからだな、何をするのも。
ということで、寝室から出ることを決して、栗崎に背を向けた瞬間。
「…どこ行くの」
今度は後ろからギュッと抱きしめて、耳元でいたずらっぽく囁いた。
絶対まずいと思うんだよね、この状況。
今までの経験がうちの脳内で警報を鳴らす。
だけど、体は言うことを聞かない。
栗崎はそんなに強くうちを抱きしめてるわけじゃないのに、体はこの状況から抜け出そうとしない。
くるっと体の向きが変わって、目の前に栗崎の余裕な笑みが現れた。
「俺がこの部屋にいた意味、わかる?」
ぐっと顔を近づけて、余裕な笑みから怪しい笑みへと変わる。
「……知らねぇよ」
こいつのこういう顔、本当にダメ。
ペースを崩されて、素直になれない自分のスイッチが入ってしまうから…。
「じゃ、教えてあげようか」
さらに顔を近づけて、まるでキスしそうな距離。
「ちょ…」
もっと口角を上げて、栗崎は口を開いた。

