「おはよ、稜。ほら、行こう?」


聖華はうちの席に来て、あいさつをするや否や、3年の教室へ行こうと誘った。


なんとなく、顔を合わせづらい気がする……。


聖華はそんなこと知らないんだから、行こうっていう気持ちはわかる。


たとえ言ったところで、逆にじゃぁいいじゃんっ!!と言って連れて行かれそうだし。


成長したな、うち。


人の行動がちょっと読めるようになったぜ。


心の中で調子に乗っていると、聖華に腕を掴まれて階段を上っていた。


「え、ちょっと待って、聖華っ」


「なんで。早く行こうよ」


聖華はもう彼氏となった綾村に会いに行きたい気持ちはわかるけど……。


うちは、別に付き合い始めたわけでもないんだし……。


好きって伝えただけだもん。


「聖華はさ、そりゃ付き合ってんだからいいけど……」


「え、稜と栗崎先輩も付き合ってんじゃないの?」


「……は?」


聖華の顔は真剣そのもので、本当に心の底からうちと栗崎が付き合ってると思っていたみたい。