しばらく栗崎はうちを見つめていたけど、やがて少し困った顔に変わった。
なに、もしかして本当に聞こえてなかったとか?
そんなのなしだって、ホント。
こんな思いして言ったのに……。
「な、栗崎。マジで聞こえなかったの?」
「……うん」
ちょっとふてくされてるのは、うちが栗崎を疑ったから?
「まっ……」
ほぼ絶句状態で頭をわしゃわしゃかいて、考え込む。
「もう一回だけ言うぞ」
「うん」
ちょっと目が輝いて、子供みたいに肯く。
もう一回覚悟を決めて、スーッと息を吸い込む。
「……好き…」
「マジ……?」
栗崎の目がどんどん大きく見開かれていく。
ちゃんと顔を見ることはできないけど、目が見開かれているのだけはわかった。
顔がまた赤くなったのを隠すために、髪で顔を隠すようにして俯いた。

