「……野郎。さっさと帰れ。ここはお前のいる場所じゃねぇよ」
なんとかこの家から栗崎を追い返そうと、栗崎の背中を両手で押しながら玄関まで運ぶ。
「ちょっと稜、転ぶからやめろよ」
なんて笑いながら言う栗崎の背中を思い切り叩いて玄関に下ろす。
「痛っ!!……稜ちゃんは馬鹿力ですねぇ」
背中を頑張ってさすりながら苦笑してる栗崎に構わず、靴を履いたのを確認してから戸を開けて栗崎を押し出した。
「二度と来るんじゃねぇぞっ!!」
吐き捨てるように言ってから戸を思い切り閉める。
フーっと肩で息をつき、キッとおばあを睨む。
「なんだい、稜。栗崎さんにあんな態度とって」
「おばあ馬鹿じゃねぇのか!?あんなやつ信用して家入れやがって!!生徒会長だからって暴力振るわねぇっつー確信がどこにあんだよ!?あぁ!?」
「……そんなの、私の勘ですよ、稜」
涼しげな顔で言ってのけるおばぁを、ポカンとしながら眺めた。
勘って…。
「あいつは、紛れもなく悪いやつなの!!もう二度と、金輪際、あいつを家に上げんな。で、うちに会わせんな」
なんとか言葉を発して、おばあに念を押してから部屋に戻る。
朝っぱらから栗崎なんか見ちゃったから、マジで気分悪ぃよ。
…にしても栗崎っていったいなんなんだろう。
ちょっと怖い顔して、暴力団引き連れてくるかと思いきや、うちのおばあと中睦まじげに会話する。
それこそ裏表ありすぎんだけどさ、怖いわ。
なにを企んでやがんだか…。

