そう。
まぁ、みんなわかってたんだろうけど、"こいつ”とは栗崎のこと。
何が悲しくてこんなやつと朝一番で顔あわせなきゃいけないわけ!?
「これ、稜。女の子なんだから暴力振るっちゃいけません」
おばあが私を叱るけど、じゃあ男なら暴力振るっていいのかって話だろ。
「ちょっとおばあ。なんでこいつうちにあげたんだよ」
うちが聞くと、おばあは不思議そうな顔をした。
「なんでって……。稜の彼氏さんだって言うから上げたんだよ」
「ハァ!?」
ますますわからねぇ。
まず、なんで栗崎はうちの彼氏だと言って入ってきてるのか。
そして、なんでおばあはそれを鵜呑みにするのか。
「…もし、ほかの暴力団とかだったらどうすんだ!?」
「あら、だって栗崎さんってあんたの学校の生徒会長だろ?そんな人が暴力なんて…ねぇ」
栗崎とおばあが"ねぇ"と頷きあってるのを、いい加減呆れ顔で眺めてるうちに栗崎がニヤっと笑った。
俺の勝ちだな、とも言わんばかりの表情で。
「腹立つ…」
また、栗崎に対する闘争心が燃えた。

