次の日の朝、なぜか重い頭をなんとか起こして、ベッドから這い出る。
なんかいろいろ重なりすぎてて、自分の中で何も整理がついてない状態。
不良の癖して何もかも放り出すことができない自分に苛立って、頼りがいのない父親と兄貴にも苛立ってる。
こんなにイライラしてる自分も珍しいけど、こんな境遇になったことがまずびっくり。
それもこれも、栗崎に会ってからだよ……。
あんの野郎……ボッコボコにしてやるんだからな!!
きっと出来るはずのない誓いを心の中で立て、栗崎に対する闘争心を燃やした。
「あ、稜。お客だよ」
リビングに入ると、台所のほうからおばあの声がした。
「あぁ?客?…誰だよ」
うちんとこにお客なんて、ずいぶん珍しいじゃねぇか。
「稜ちゃん!!」
すると、後ろから威勢のいい、気持ち悪い声が聞こえた。
どうして……どうしてこいつがうちにいるわけ!?
どうして、おばあたちはこいつを中に入れたわけ!?
いくつもの疑問が頭の中を渦巻く中、気がついたら奴の腕の中にいた自分。
どうして、こいつに抱かれてるのかもわからないまま、うちはこいつの鳩尾を肘で殴った。
「うっ……」
と呻いて、そいつはうちから手を離した。
「ったく……。なんでてめぇがここにいるんだよ、栗崎!!」

