ハッとして振り返ったら、息を切らしたハルが立っていた。



「ハル……?」



なんで?



「何で急に『帰る』とか言いだすわけ? 追いかけるの、苦労したんだぞ!」

「……仕事が、面倒……だったから……」

「はあ?」


ふざけんなよ、とハルは困ったように笑った。


「佐渡がいなきゃ、明日のステージ心配なんだよ。先輩から受け継いできた企画なのに」

「そんくらい分かって──」

「分かってねーなあ!」



あーもう! と大きなため息をついて、軽く髪を掻き乱したハル。


それから、はにかんで、ちょっと不機嫌そうに呟く。



「──佐渡に見てほしいって言ってんだよ」




──えっ……?

──あたしに……?