君の目に映るもの

顔を洗い、帰り支度を済ませて廊下に出る。









トボトボと無心に歩いていた私は、行く先に落し物を見つけた。









歩み寄って拾い上げると、それはタオルだった。









「・・・誰のだ、コレ・・・。」








スポーツブランドの名前が黒地のタオル地にプリントされていて、クールなデザイン。
前にも、見た記憶があった。確か、スポーツテストの時に大志が・・・・・。そう思い出した私は、また床に置こうとしたけど、後ろめたい気がしてそれをバッグに入れた。








 あいつ・・・、落し物ばっかじゃん。
 ・・・しょうがない。明日渡してあげよ・・・。









少し呆れながらも、ちょっとおかしくて小さな笑みがこぼれた。









再び歩き始めた私の心はまだちょっと痛んでたけど、残るものなど何もなかった。
涙と一緒に流れ落ちた・・・・。このときはそう思ってた。けど・・・、本当はこの落し物のおかげだったんだ。あいつのドジに救われた。