片手に包丁を持った男は一軒の家の前で立ち止まる

「ここだ」

そう言って律儀にインターフォンを鳴らした



猿渡が公道で、大声を叫んでいた。

「犯人のばーか。弱虫。腰抜けー」

毒づくことで犯人が正体を見せるのでは?作戦にはいった。

しかし効果はない。

「もう10分もやってますよ」

ウン子は飽きたのか、マイムマイムをしていた。


「いい加減、諦めた方がいいですよ」

「うん。そうだな」

あっさりと辞めた猿渡。


相変わらず、マイムマイムをやり続けるウン子。


「じゃあここは、マイムマイムをやりましょう。三人で」


「断固拒否する」


三人の声は夕焼けの空に溶けていった