俺がこんな姿になっても仕方ない人間なんだ。
だが、少女は大事なことに気づいていない。
俺は一息を置いて喋ることにする。

「俺と親父がおばあさんを毒殺して死体を縁側に移動させている時、庭の倉庫の死角に身を潜めていた君を見つけた、それだけだ。俺は君を殺していない」

少女は驚きを隠せずに身体の中の困惑を放り出した。
「お兄ちゃん??何を言っているの??私は確かに殺されたわ。ナイフでお腹をグサリと刺されたもの」

刺された??そんなことができる訳がないんだ。

「その時、俺はナイフなんか持っていないよ。それにおばあさんを縁側に運んだ後、庭から出ていったきり俺は一度も縁側に戻っていない。君に会うことは不可能なんだ」

キャリーを見ると暇なのか自分の縫い口を舐めていた。