突然フワリと、あったかいぬくもりに包み込まれて驚いて顔を上げると




「そんな悲しい顔するなよ…俺まで悲しくなるだろう?」



悲しげに微笑む雅先輩の顔。真っ直ぐあたしの顔を見つめる瞳。



ドクン…と胸の鼓動が波打つ。



何がどうなっているのか分からなかった…。



気づいたら、先輩の腕の中にいて



気づいたら、先輩の顔が間近にある。



「美月ちゃん…俺…」



な、なに?


いつもと違う真剣な瞳の雅先輩に戸惑いながら、俯いて腕を伸ばして先輩の鍛えられた胸板を力いっぱい押しても



雅先輩は、余計にあたしの体を強く抱きしめた…。