「もういいよ…やめろよ…分かったから…」


蓮は俯いてそう小さく言うと背を向けると、あたしを振り返ることなく帰っていった。



蓮…待って…待ってよー…!!



ドンドン小さくなっていく蓮の背中に、そう叫びたかった声は喉の奥で飲み込んで消えたー…。




蓮…蓮…。


誰もいない道端で


ポロポロと冷たいコンクリートに涙でできた水玉模様がいくつも重なり広がっていく。


ゆっくり膝から崩れ落ちて口を両手で覆って泣いた。



夜空には悲しげに三日月が光っていた。