「…先生…。
あたし…。
先生んちの“ワンコのくるみ”じゃないもん。
ハイキングの…あの時にもそう言ったでしょ?」


眉を下げ、ぷいっと唇を尖らせて横を向くと…


「似たようなもんだろ?」


そんな言葉と、頭の上には大きな手が降ってきた。




あの日も――…


『困ったちゃん、一匹捕獲っと…』


そう言った担任は、


「くるみちゃーん。
んな顔して。
震えるオプション付の可愛さアピールはやめなさい?」


あたしのことを“水嶋”という名字じゃなくて“くるみ”と名前で呼んだ。