夕方家に帰るとテーブルにメモがある。母から貰ったメモは二回めだ。一回めは商店でのつけを頼んだメモ 二回めは「後の事は頼みます お母さんも幸せになりたいから出ていきます」
弟はどうするん?家の事まかされても訳がわからない。とりあえず父に連絡したらすぐ飛んで帰ってきた。あれほど慌てた父は最初で最後だと思う。
しばらくすると電話がなりパート先で知り合った男の人と恋に落ちた、それにお父さんからの暴力に堪えれないと。父はお酒を飲むと確かにクドクドゆう。ちょっとゆえばキレる事があった。小さい時に家に帰ると母の綺麗な長い髪がお猿さんのように短い、泣いている、よくみるとアチコチ怪我して顔が腫れている。髪もザンギリ頭。父がそばでハサミを持っていた。
ただ怖かったのを覚えている。父は家から出たのを見て家に入ると受話器を持っている母。
近付くと美容院に電話をかけている。「昼寝んしてたら子供が ハサミで髪きってしまって、すぐ今から行くのでしてもらえますか?」そのまま帽子を被って自転車で行った。被る前の頭は今思い出しても悲惨としかいいようがない。何故こんな事になったのかは少し私が大きくなった時にわかった。父に内緒で借金をしていたのがばれたからだと。にしてもそこまでしなくても。理由はどうあれ父は昔から苦手だ。
父にはかわいそうだが母の第二の人生応援しよかと思っていた
でも知的障害を持った弟が泣き叫んで「お母さん、お母さん」と呼んでいる。そこまでして幸せになろうとする母が急にゆるせなくなり居場所を聞いて乗り込んだ。綺麗なマンションだったのも腹が立った。玄関の戸をあけたままどなりこんだ弟が泣いてるのによくこんな事ができるなと。近所でみんな聞いていたと思う。思いは伝わらず母は弟を引取男性と家庭をもった。
一方で父は怒りがおさまらず私と同じく母の家庭に怒鳴り込んだ。そんな事をすれば余計に女は身をひくのに。
結局父は一人で暮らして行く事になり私は彼と彼の実家の隣の家で暮らす事になった