少しの沈黙。

「できましたよ」

私は襖を開ける。

『これ……、なかったんですよね?』

「はい」

『あの短時間で作られたのですか?』

「短時間?そんなことはないですよ、5分もかかった」

客は、そっと時計を見る。

「おや、気に入りませんか?」

『いえ、完璧ですわ』

客は帽子をまじまじと見る。

『あの、おいくらで?』

私の方を見る。

「50ミルです」

『50ミル?…でも、こんなに素敵なお帽子…、100ミルの価値はありますわ!』

「5分かかりました。ですから5割値引きさせてもらいました」