「ここか?」 キッと自転車を止めて颯悸が言う。 「あー、そうそう。巳山神社。」 あたしが自転車から降りると、颯悸は自転車を置きに行った。 「本当にここでいいのかな?」 古ぼけた社が建っている。 「おばさんが言ってたんだろ?」 自転車を置いてきた颯悸が言った。 「うん。ここは昔から空っぽの神社だって。」 「じゃあ本当だろ。行くぞ。」 そう言って、社の中へと入って行く颯悸の後を追った。