だけど、尚もあたしの頭の中で響く声。








《…憎い…っ………く、苦しぃっ……………》








…憎い?苦しい?







この声の主は明らかに、目の前の狐。








…………苦しいの?





何が憎いの…?





《…………にっ、人間がっ……》






…人間が…何かしたの?









《……私の……この家を……………っっ…!!!!》







人間が…あなたの家を
荒らしたのね?






頭の中に聞こえてくる声に、あたしは心の中で会話する。





答えながら、ゆっくりと足を進めるあたし。






まるで…その狐の元へ、引き寄せられるような。









「おいっ…鴇葉!!!!!」






後ろから颯悸の声が聞こえる。



だけど何故か振り向けない。









ただ、狐と会話するだけ。