「ねえ、ばあちゃん」
僕は朝食を食べている時に
訊いた
「どうしたの?奏」
「ここに来るまでの電車の中で
広い丘を見たんだ
どこにあるか知ってる?」
「あぁ、あの丘ね
ばあちゃんも小さいとき
よくそこで遊んだよ
とっても広くて
寝転ぶと気持ちよくてね」
「僕そこに行きたいんだけど」
「寝転びたいのかい?
わかったわ
ここからまぁまぁの距離だから
お向かいのお家の
ゲンさんに連れて行ってもらいなさい
奏のことよく話すし
前来たときも
よくしてもらったから」
「ゲンさん?
...うん、わかった
ありがとう」
相変わらず僕は
全然覚えてないけれど
あの丘に行けるとなって
とても
嬉しかった