職人の娘。

目覚めて時計を確認すると、まだ時間は三時間ほどしか経っていなかった。


お母さんはもう、仕事に出ていっている時間。


枕元に置いてある煙草に手を伸ばす。


ベッドの向かいにある全身鏡には、何か悲しそうな表情の金髪娘が映ってる。


そんなとき、携帯が鳴った。


着信:琢磨


「…おはよ」


出来るだけ元気な声で電話に出た。


『おはよ』


元々琢磨も、口数の多い方ではない。


付き合う前から電話をする事は日常茶飯事だったけど、その頃から琢磨は、あまり喋らなかった。


「どうしたの?」


鉄板の言葉に、向こうで琢磨がクスリと笑う。


『自分の女に電話するのに、理由がいるもんか?』


自分の女


くすぐったい気がして、口元が緩む。


「ゴメンね、まだ実感湧かないんだよね」


仰向けで煙草を吸いながら、勤めて冷静に、琢磨のテンションに合わせるつもりで話す。