じいちゃんはチラッとあたしを見て『おはよう』と言った。
「うん。おはよう。おやすみなさい」
なんだかおかしな挨拶をして、部屋に上がっていく。
二階の洗面所で化粧を落として、部屋着に変える。
ばあちゃんには罵声を浴びせて鬱陶しいとか言ってても、じいちゃんだけは好きだった。
何にも言わずに、態度も変えないで朝帰りするあたしにいつも挨拶してくれる。
布団の上にねっころんで、コルクボードに貼ってある写真を眺める。
琢磨と撮った写真を見ては一人にやけて、無意味に足をバタバタさせてみる。
人間らしい感情だな、そんな事を思った。
つい十二時間前は、この部屋で、お母さんの事を考えては
「あたしは何なんだろう」
なんて暗い自問自答を繰り返していたのに。
もう心配ない気がした。
琢磨がいるんだ、あたしには。
そんな事を考えながらウトウトしていたら、隣の部屋のドアがしまる音がした。
「お母さん早いな…」
まどろんだ意識は、次の瞬間覚めてしまう事になる。
カチャっ…
急いで目を閉じた。
お母さんがあたしの部屋に入ってきた。
すり足の音が聞こえて、あたしの真横で止まる。
「…ほまれ…ごめんな」
冷たい手の感触と、お母さんの匂い。
遠い記憶が蘇ってくる。
あたしが本当に子供の頃、お母さんに抱っこしてもらった。
CHANELのEGOIST PURACHINAM
愛用の香水だった。
今もきっと変わってないだろう、その匂いがした。
あの頃からお母さんはいなかったから、その匂いを身につけていたらお母さんが近くなる気がして…上着を一枚だけ、お母さんの部屋に放り込んだりしてた。
「うん。おはよう。おやすみなさい」
なんだかおかしな挨拶をして、部屋に上がっていく。
二階の洗面所で化粧を落として、部屋着に変える。
ばあちゃんには罵声を浴びせて鬱陶しいとか言ってても、じいちゃんだけは好きだった。
何にも言わずに、態度も変えないで朝帰りするあたしにいつも挨拶してくれる。
布団の上にねっころんで、コルクボードに貼ってある写真を眺める。
琢磨と撮った写真を見ては一人にやけて、無意味に足をバタバタさせてみる。
人間らしい感情だな、そんな事を思った。
つい十二時間前は、この部屋で、お母さんの事を考えては
「あたしは何なんだろう」
なんて暗い自問自答を繰り返していたのに。
もう心配ない気がした。
琢磨がいるんだ、あたしには。
そんな事を考えながらウトウトしていたら、隣の部屋のドアがしまる音がした。
「お母さん早いな…」
まどろんだ意識は、次の瞬間覚めてしまう事になる。
カチャっ…
急いで目を閉じた。
お母さんがあたしの部屋に入ってきた。
すり足の音が聞こえて、あたしの真横で止まる。
「…ほまれ…ごめんな」
冷たい手の感触と、お母さんの匂い。
遠い記憶が蘇ってくる。
あたしが本当に子供の頃、お母さんに抱っこしてもらった。
CHANELのEGOIST PURACHINAM
愛用の香水だった。
今もきっと変わってないだろう、その匂いがした。
あの頃からお母さんはいなかったから、その匂いを身につけていたらお母さんが近くなる気がして…上着を一枚だけ、お母さんの部屋に放り込んだりしてた。

