職人の娘。

葉子はゲラゲラ笑いながら、部屋へ案内してくれる。


「金だけあればいいって問題じゃないけどね−」


葉子はVサインをして、部屋のドアを開けた。


葉子の部屋はあたしの部屋とは違って、上品だった。


転がる灰皿と、喧嘩して破れた服が散らばっている以外は。


「何か飲む?」


小型の冷蔵庫を開けて、お茶やらコーラやら、何か色々出してきた。


「うちの親さ、超過保護なんだよね」


ペットボトルのお茶の蓋をひねりながら、葉子は呟くように言った。


「あたしの行動にいちいち見張りつけるの。」

「心配なんじゃん?」

「ちげぇよ。世間体」


言われた瞬間、ばあちゃんの顔が頭に浮かんだ。


「議員の娘はさ、大人しくしてなきゃ面子たたねえらしい」


苦笑いしながら葉子は続けた。


「子供のころから、嫌だった。だから不良になってやった。まあ、相変わらず過保護だけど。」


赤い革のソファーに座って、煙草に火を点ける。


黙って話を聞いていた。


「ほまれの家族ってさ、どんなん?聞いた事ないよね。」


ずきっと胸が痛む。


「聞かせてよ、あんたの話」


「あんたの真逆。」


一言、そう答えた。