職人の娘。

「葉子お−」

「どうした兄弟」

「帰ろ−」

「え、今来たばっかりですけど。」

「ダルい。暑いし」

「じゃあウチ、来る?」

「行く」


葉子の家へ行くのは今日が初めてだ。


学校の裏の林に隠した原付に跨がって、エンジンをかける。


「こらあ−!!金田あ!!峰岸!!止まれ、お前ら!!」


向こうの方から、教師の声が聞こえた。


後ろでひらひら葉子が手を振って、あたしは笑いながらアクセルをまわす。


原付を走らせている間、ふと気になる。


あたしたちは、きっと白い目で見られてて

この街の人たちは、あたしの事をどう思ってるのかな…なんて。


そんな頭はすぐ吹っ飛ぶんだけど、一瞬そんな事を思う時間が増えた。


葉子の家は、豪邸だった。


「家さ、でかくねえ?」


馬鹿にでかい門を見上げて、口があいてしまう。


「まあ金はあるからね。うちの馬鹿親」


オートロックの門を開く番号を打ち込みながら、葉子はつまらなさそうに言った。


「あんたんちって、資産家かなんか?」

「違うよ、国会議員」


さらっと言った言葉に、あたしは目を見開いた。


「親父がね。議員なの」


いびつな音を立てて門が開き、旅館ほどある玄関から中へ入る。


「やっべえ葉子、あたしアンタと温度差感じたね、今。」