職人の娘。

お母さんの事がよっぽど気に入らないんだ。


あたしにも、お母さんについては悪くしか言わない。


「勝手に生むだけ生んで、結局この子の事は可愛くもないんだから」


じいちゃんや、お母さんの弟…おじちゃん達もそうだった。


確かにそうかも知れないとは、あたしも思ってた。


でも、いつもいつも…その言葉を聞くたびに腹が立って、どうしようもなかった。


お母さんがいつも家に居ない事を、寂しく思った事なんて一度だって無かったから。


夜中にふと聞こえるお母さんの声を、ばあちゃん達は知らない。


隣の部屋から聞こえてくる、お母さんが電話で話す声。


「良かった、ほまれは強く育ってくれてるよ。

…うん、そう。

恨まれてるの、分かってるよ。分かってるけど、あの子には他の子みたいに他力本願になってほしくないんだって。

…当たり前でしょ。

ほまれはあたしの宝物、自慢の娘だからさ」


夢だったのか、現実だったのか。


お母さんは確かにそう言ってくれた。


何だか心の暗いものが無くなって、幸せな気分になって眠った。


ばあちゃんは、知らないんだ。


お母さんの気持ちなんて。


「ヒステリー起こしてんなよ。家にいるの、だからしんどいってんだよ。」


あたしの方を見もしないで、お母さんは立ち去った。


ばあちゃんは鬼のような顔でお母さんを睨んで、


「あんたも部屋行きな!!」


そうあたしに言った。