職人の娘。

「あ…あ…ありがとう」


あいつは擦り傷だらけの顔で、お礼を言ってきた。


「強くなったじゃん」


周りが野次を飛ばして、何だかんだ騒いでいたけれど、あいつとあたしの間だけに違う空気が流れていた。


お約束のように、晩はばあちゃんにみっちり説教された。


「ほまれ!!聞いてるんか!!」


怒鳴りまくられて、精神的にもかなり詰まってきた頃。


「ほまれ」


たまにしか聞かない、ハスキーな私を呼ぶ声。


「お母さん…おかえりなさい」


変な汗が吹き出てくるのが分かる。


「あの坊主、相手とっちめたらしいじゃん」


お母さんは珍しく白いパイル地のセットアップを着ていた。


てか、家にいたんだ。