職人の娘。

車で待っていたばあちゃんは今だ怒っていて、何かぐちぐち言っていたけど、私は妙な緊張と手から噴き出す汗を抑えるのに精一杯だった。


お母さんはというと、そのまま愛車に乗り込んで仕事に戻っていった。


翌日、隣のクラスは大乱闘。


お母さんに言われたことを忠実に実行していた。


あいつが。


泣きながら、殴られても立ち上がり、蹴られても立ち上がる。


だが奴は、元々腕っ節が弱いのだろう。


やられっぱなし。


周りは野次をとばし、いじめっ子は調子に乗っていた。


「おい」


気付いた時には、私の体は動いていた。


あいつの顔は驚きに満ちていて、その前で私はいじめっ子をしめた。


別に助けたい訳じゃなかったし、何がどうとか無かったけれど


今助けなきゃ、お母さんにぶっ飛ばされる気がしたんだ。


「このヘタレが!!」


そんな声が聞こえたんだ。