「何で謝ったの、今」


鋭い眼光が、私を捕らえる。


「だって…」

「お前がしたの?」


今日も迫力満点。


「あのね、お母さん、私本当に知らないよ」


私は訴えた。


「じゃあ謝るな」


きつい口調でそう言われて、体が固まる。


「今から相手に会うけどな、謝るな。お前がしたんじゃないなら、謝る必要がない。母ちゃんがカタつけてやる」


この時一気に涙が出た。


「行くぞ」


普段見ないお母さんの後ろ姿は、どこにでもいる女の人の背中とは掛け離れて広くて、細い腕にはたくさんの傷があった。


「夜分申し訳ございません、峰岸ですが」


インターホンにお母さんが話し掛けると、相手の親と当事者が物凄い勢いで転がり出てきた。